名もない毎日にスパイスを

毎日パン屋さんのパンを食べていたい主婦の絵日記

名もない毎日にスパイスを

最近誰かを待っていますか?

公園のベンチで女性が誰かを待っていました。

 

正解に言うと、その佇まいから誰か(恋人)を待っているふうに見えました。

 

 

年齢は私より歳上、30代後半かしら?膝丈のスカートにピンヒール。薄手のカーディガンに上質のショールを巻いている。遠くから恋人にその姿を発見されても構わないよう、背筋をピンと伸ばし携帯を見ていました。

 

 

私はと言うとベビーカーに息子を乗せ散歩の道中。高級スーパーで買ったちりめんじゃこおにぎりをどうしても今すぐ食べたくなって公園で食ってやろうと、女性のとなりのベンチに腰掛けたところでした。

 

 

どうでも良いスニーカーを履き、ニットの胸元には息子を抱いた時についたヨダレの跡が白く残っている。そういえば美容室に行ったのは半年前で目立つ白髪が3本はあるな、と自分の風貌を再確認したところでとなりの女性が物凄く「イイ女」に見えてきました。

 

 

この公園で唯一ピンヒールを履いて丁寧に洋服を着ているこの女性にはやはり「イイ男」が会いにくるのかしら?そこそこの大人が“秋の公園で待ち合わせ”ってのもセンスが良いなぁ なんて、うらやましいが止まらなくなってきました。

 

 

そういえば結婚してから「誰かを想って待つ」ことが少なくなったんじゃないかな。

 

 

高校生の頃は恋人が隣街に住んでいて待ち合わせをするのだけど、田舎だから電車が30分に1本しかなくて。待ち合わせの30分前に着いちゃったりして。何度も鏡をのぞき、髪型整え、そわそわしながら待ったものです

 

 

 

大学時代、ドイツ人の男友達はいつも一時間遅刻するヤツだったな。雪が降る日の初詣に誘われて、まさかとは思ったけどその日も一時間遅れて来やがって。雪が降りしきる神社、ひとりぼっちで凍えながら待った時は私は案外忍耐強い女なのだと。就活で「私は忍耐強い女です」と自信を持って言える気がしたのです

 

 

営業マンの彼氏の時代は本当によく待たされた。出張に行きっぱなしだったから、次に会えるのがいつだかわからなかったし、ひとり夕飯を済ませた後、仕事終わりの彼と会い深夜に2度目の夕飯を一緒に食べる事もしばしば。結局「私はもう待ちたくない」と別れを告げたらプロポーズされたのだけれど、私の気持ちはもう引き返せないところまできていたのです。

 

 

 

 

あんなに「もう待つのは嫌だ」と

待つ事には懲りたのはずなに

 

 

 

 

肌寒い秋空の下 誰かを想って待つのはいいもんだなぁ、と。うらやましく思うのです

 

 

 

あの時はイライラ、ざわざわしながら待っていたんだろうけど何故か時が経つと「待っていた時間」が美化されてしまっている不思議。

 

 

 

イイ女に会いに来るであろうイイ男を見届けてから帰ろうと息子をあやしながら一緒に待つことに決めたのですが(勝手に)

 

 

 

グズりだした息子にちぎったちりめんじゃこおにぎりを与えてみるとバクバク食い付きが良かったので「へえ、あんた高級スーパーのおにぎりだったら食べるんだ」と感心しているうちに 女性は消えてしまいました。

 

 

慌ててよくよく公園を見渡したのですが本当に消えるように女性はいなくなってしまいました

 



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